解決事例

2024/03/12 解決事例

中小企業(製造業)の民事再生で、事業継続に不可欠の資産を確保し、労使交渉の末に再生を果たした事案

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

売上数十億、負債数十億、従業員数十名の中小企業が、さまざまなコスト多過と借入超過にあえいでいたところ、民事再生に活路を見出すことを意思決定して、私のところに依頼に来ました。

解決への流れ

依頼時にはあと2か月ほどで手形不渡りを招来する危機状態でしたが、資金繰り(月繰り及び日繰り)を精査したところ、金融債務のカットと余計な労務管理費の削減が叶えば、十分に再生ができる会社であると判断し、依頼から1か月で民事再生の申立に及びました。
課題である金融債務のカットについては、メインバンクが事業継続に不可欠な不動産に担保権を設定していたことから、当該担保権の取扱いを巡る別除権協定の締結に困難を極めました。期間にしておよそ1年、既に一般再生債権に関する再生計画が認可された後にもまだ交渉が継続している状況でした。しかし、何としてでも再生を果たすとの思いから、一丸となってメインバンクを説得した結果、いわゆる粘り勝ちで別除権協定を成立させました。
また、労使問題についても、非常に交渉力の強い労働組合を相手に悪戦苦闘の末、何とか均衡的な暫定合意に達し、少なくとも事業継続に支障が生じる事態は回避できました。

三木 憲明 弁護士からのコメント

再生計画は、民事再生法で許容された上限10年一杯を使ったもので、正直なところ実現できるかどうか微妙でした。もちろん、遂行可能性があると裁判所が認めてくれたからこそ認可となったのですが、私も依頼会社も不退転の決意で臨まねばならないものでした。
労使問題も、上記のとおり小均衡を保つことはできたものの、完全解決までにはまだまだ遠路を行かねばなりませんでした。
このように、この10年はまさに「いばらの道」を覚悟せざるを得ないものでした。
しかし、そうした厳しい状況の中でも、依頼会社の必死のがんばり、債権者からの温かい叱咤激励、裁判所や監督員からの適切な指導、業況の好転などが重なり、何とかこの10年を乗り切ることができました。
そこに生まれたものは、単なる依頼者と受任弁護士の関係を超えた、真の信頼関係と連帯感でした。私の弁護士人生の中でも特筆すべき事案といえます。

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