解決事例

2024/01/15 解決事例

持分あり医療法人の事業(医業)承継

この事例の依頼主

年齢・性別 非公開

相談前の状況

現存する医療法人には、持分あり、持分なしの2種があります。
このうち相続に伴う承継が問題となるのは、持分あり医療法人です。
本件は、この持分あり医療法人について、後継医師から、いかにすれば先代医師の意向に沿い、かついわゆる争族を避けて後継医師の利益に適う事業承継ができるかという相談でした。

解決への流れ

持分あり医療法人における事業承継スキームは複数ありますが、本件の中小規模医療法人においては、生前贈与や死後相続ではなく、先代医師がお元気な間に後継医師が「独立」を果たすというスキームを採用しました。つまり、後継医師は当該医療法人に勤めながら(理事にも就任されていました)、自らの貢献にふさわしい給与(理事報酬)を得て、その貯えを原資として、適宜の時機に当該法人から自らが携わる部門(●●科など)の事業譲渡を受けて「独立」するという形態です。
これは、有償での医業売買であり、相当な対価が当該医療法人に支払われるので、後々の相続において遺留分侵害や持ち戻しの問題が生じることがありません。その意味で、後継医師がいわゆる争族を避けたいとの強い意思をお持ちの場合には、非常に有用な方法です。

三木 憲明 弁護士からのコメント

本件のような親族間承継では、法律的な観点だけでは適切なソリューションが提供できないことが大半です。特に、医療法人の会計・税務に対する理解は必須です。そこで、例外なく当該医療法人の顧問会計士・税理士と密に連携を図りながら進めることになります(顧問会計士・税理士がいらっしゃらない場合は、適任の有資格者をご紹介します)。なお、「独立」までにはそれなりの時間が必要です(医業譲渡代金の原資を蓄えなければなりません)ので、先代医師による公正証書遺言(先代医師が有する当該医療法人の持分を後継医師に相続させる)も併用し、万一の場合に備えています。
以上は、持分あり医療法人にかかる医業承継の一例です。この他にも、さまざまなニーズを抱えた中小規模の医療法人について、多角的な視点から最適なソリューションを考案するよう努めています。

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